2015年12月08日

【新刊】ゼミコンパで2H独演した総裁は嫌われタイプ

まえがき

私が篠原一先生の「ヨーロッパ政治史」の講義を東大駒場の900番教室で聞き、本郷でゼミに参加したのは、今からもう、40年近い昔になる。
政治哲学者のハンナ・アーレントが死去した記憶もまだ新しく、朝日新聞が、毛沢東の死を「巨星墜つ」と伝えたすぐ後ぐらいである。日本では、渡部昇一先生の『知的生活の方法』が100万部を超すベストセラーになり、「クーラーは体に悪いか、それとも必要なものか」などが熱心に議論されていたといえば、大体の時代背景は分かるだろう。

私が篠原先生の授業で教わったことは、『ヨーロッパの政治』(東大出版会)という名著として定年退官時に刊行されているが、当時の先生は、講義ノートを口早に読み上げており、学生たちは、筆記するのに懸命だった。
ある時、私は失礼にも、直接先生に、「これじゃ、ノートを取るのが、うまいかへたかだけで成績が決まるじゃないですか。ちゃんと本にして出版して下さい。」と直言した。先生は、「毎年少しずつ新しいことも入れているんだよ。」とお答えになり、「政治学文献」として1200冊以上の参考文献をご自分で一覧表にしたものを、私に読み込むように指示された。

その後、引き続き法学部3年生として、「篠原ゼミ」に参加したが、4年生や5年生も議論で黙らせてしまうほど舌鋒が鋭い学生が私だった。「いつも教授の横に座って師範代風にしゃべっていた」のが私の印象だと、あるゼミ生が昔、某週刊誌で語っていた。

スペインの政治学者リンツの『政党論』の英語原本をコピー製本した本で、ゼミをやっていた時のことだ。先生はウッカリ次週の予定の章を予習してこられた。「今日の分をこれから読むので少し待ってくれ。」と先生はおっしゃられ、老眼鏡と近眼鏡が二重になっている眼鏡を一枚上に上げて、一行一行英文を指でなぞって読み始められた。アメリカからの留学生が、「東大の英語はアメリカ人ではついていけない。」とギブ・アップしたぐらい難解な本である。いつものように先生の左側に座っていた私は、自分の時計で先生の英文を読む速度を測っていた。1章約15分かかった。私の3倍である。「先生なのに予習がいるんですか。」と言って、カンラカラカラと一ゼミ生の私は笑ってしまった。小憎らしいぐらい人の悪い性格である。篠原先生は、チラッと横目で私を見ただけで、いつもの通りゼミを開始された。心の広い方だった。

ゼミの打ち上げコンパでも、2時間以上、私は独演会をやってしまった。社会人なら、絶対嫌われるタイプである。しかし、先生は、「実社会に出たら彼みたいにしゃべれる人が出世するんだよ。」と他のゼミ生から私をかばって下さった。 あの頃の先生は50歳を少し越えた年齢だったろう。不肖の弟子も、今は還暦を前にしている。

人は私を宗教家と呼ぶが、政治・政治学の本も100冊以上出版している。 90歳の天寿を全うされた恩師を偲びつつ、感謝の気持を込めて本書を上梓することとする。 大川隆法
【新刊】ゼミコンパで2H独演した総裁は嫌われタイプ

【新刊】平和学入門 元東大名誉教授・篠原一 次代へのメッセージ
http://www.amazon.co.jp/dp/B018911MW6

SEALDsにみる討議型デモクラシーの限界。
「米ソ冷戦」と「中国台頭」時代の政治理論の違い。

安保法制や原発推進、そして沖縄基地移設をなぜ安倍政権は強く進めることができるのか?

国際社会のパワーバランスが変化する、いま―――
日本に必要な政治学とは。

その死から5日目に収録!
政治学の権威による・最終講義。


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