2015年11月18日

風邪に抗生物質は効果なし

 抗菌薬の使用に潜む危険性
ヤフーニュースより、抜粋・編集 11月16日(月)16時0分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151116-00000005-wordleaf-sctch&p=1


風邪に抗生物質って効果ないの? 抗菌薬の使用に潜む危険性
そもそも抗生物質ってなに?
抗生物質はもともと、細菌同士が縄張り争いをするときに、自分の陣地を広げるために他の細菌を殺す目的でつくっています。これをうまく細菌から取りだし、薬にしたものが抗生物質です。近年は、人工的に細菌を殺す薬もつくることができるようになったので、抗生物質と合わせて「抗菌薬」と呼ばれています。菌を殺すための薬なので、実は大半の風邪には効果がありません。

 風邪の多くは、風邪を引き起こすウイルスが原因と考えられています。ウイルスを殺してくれるのは、抗ウイルス薬といいます。ですが、いわゆる風邪の原因となるウイルスは100種類ほどあって、それらをいちいち特定するよりも、体の本来の力で治るのを待つ方が早い場合がほとんどです。

薬の「効かない」細菌が増えている
 抗菌薬が気軽に処方できるようになったいま、薬の効かない細菌(耐性菌)を増やしてしまっています。
 私たちのすむ世界は、肉眼ではまったく見えないけれど、細菌たちに満ちています。細菌にもいろいろ種類がありますが、同じ菌の中でも薬がとてもよく効く細菌と効きにくい細菌が共存しています。
 必要のない多くの人たちが特定の抗菌薬をどんどん飲んでいったらどうなるのでしょうか? その抗菌薬は私たちの体に吸収され、薬が効く菌を殺してくれます。しかし、中には薬が効かず、生き残る細菌、耐性菌がいます。この耐性菌たちは、薬が効く細菌が死滅したおかげで、栄養分や場所を独り占めすることができます。そうして、どんどん増えていきます。そして、尿や便、汗などのさまざまな経路を通じて体の外に出て行くのです。

 実は、私たちの食べるブタやウシ、ニワトリは、定期的に、低濃度の抗菌薬をエサと一緒に食べています。成長を促し大きく育てるために、飼料添加物として加えることが飼料安全法により認められているのです。そして、作物にも農薬として塗布されていることが多いです。しかし、先ほど同様、抗菌薬を使うほどに、耐性菌は増えていきます。

私たちには一体何ができるの?
 今、この抗菌薬が私たちに薬が効かなくなる時代をもたらそうとしています。1970年以降、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)という耐性菌が知られるようになりました。黄色ブドウ球菌は珍しい細菌ではありませんが、それまでは効果のあったメチシリンという抗菌薬が効かなくなったのです。耐性菌は、抗菌薬をよく使う場所で出現しやすくなります。また、体が弱っている人は耐性菌が増えるのを防ぐことができずに深刻化しやすい傾向があります。このため、耐性菌が問題になるのは病院が多いのです。

 ところが、アメリカのニューヨーク州では、病院内だけではなく一般社会でも感染者が出ていることがあり、大きな問題になっています。この病気は体の抵抗力が低くなっている時に感染すると、皮膚の炎症などを引き起こし、ひどいときには肺炎や髄膜炎を起こし命に危険が迫ります。

 WHO(世界保健機関)は、世界中で抗生物質の適正な利用を呼びかける「抗菌薬啓発週間」(2015年11月16~22日)を今年始めてスタートさせました。
 専門家によると、私たちの心がけで耐性菌が増えるスピードを弱くし、今ある抗菌薬をできる限り長く使うことができるそうです。


WHOの抗菌薬啓発「4原則」とは

 抗菌薬啓発週間2015が呼びかけている、4原則がこちら。

(1)求めない
  (2)飲むならきちんと
もらった薬は残さず飲みきることが大切です。症状が良くなった気がしても飲み続けて、確実に細菌を死滅させてください。そうしないと、生き残っていた細菌が、しだいに耐性を持つようになってしまいます。
(3)もらわない
(4)あげない
 (3)の逆ですね。
 日本科学未来館  鈴木啓子(すずき・けいこ)
  


Posted by ケニー爺 at 18:36Comments(0)医学・育児・病院