2016年03月20日

【新刊】百田尚樹・寓話・カエルの楽園

カエルの楽園・百田尚樹
http://www.amazon.co.jp/dp/4103364122




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「ひどい国だが俺はこの国が好きなんだ。」 百田尚樹氏は現代のジョナサン・スウィフトになりえるか ! 日本人のための究極の寓話!より、抜粋・編集
投稿者Soup殿堂入りNo1レビュアーベスト100レビュアー2016年2月25日

個人的に寓話や風刺小説は大好きなので楽しみにしていました。
寓話には非常に優れた点があります。
誰にでも親しみやすい読み物であり、物語にすることで伝えたいテーマを客観的にみることができ、時代や民族を超えて伝えられます。
本書は百田尚樹という日本人の日本人による日本人のためへ魂をこめた寓話(風刺小説)です。

物語の主人公は語り部でもある小さなアマガエルたちです。
彼らが平安の地を求め、旧約聖書の出エジプト記を思わせるような長い苦難の末にたどり着いた地は、神託のモーゼ十戒ならぬ三戒という戒めを守ることによって永遠の平和を手に入れたカエル理想郷だった!といった始まりです。
理想郷を観察するのはソクラテスとロベルトという2匹のアマガエルで、彼らの問答が読者への問題定義をする形になっています。
水と共に生きるカエルの姿は海洋国家として生きてきた日本人とイメージが重なります。

全248P中、108Pほどまでは現在の日本で、それ以降は筆者が予測する未来の日本です。
165Pの第三章以降、恐ろしい結末が訪れます。

婉曲的な表現でないので、ああこの人物や事柄が、日本!アメリカ!中国!韓国!自衛隊!憲法学者、集団的自衛権、デモ集会、国会決議、尖閣諸島、マスメディア!教科書問題、捏造大虐殺!少数派の絶叫による陽動、日本国憲法、憲法第九条や少子化!そして…百田氏など悲しいほどに丸わかりです。
問題意識をもってこなかった読者には目から鱗になるでしょうし、反対意見の方には根拠や理屈なしの激しい怒りになるかもしれません。
憲法九条はカルト宗教のように描かれています。

百田氏自身による可愛いイラストには心癒されますが、これだけダイレクトな批判でしたら時が時、地が地(絶対王政や独裁政権)なら筆者は即刻処刑ものです。
幸いにも日本は言論が自由な民主主義国家ですが、一方で一般市民であるマスメディアや一部の団体が言論的なリンチを行う風潮があります。
近代の日本の歴史を鑑みるに、戦前の戦争への誘いも、戦後の自虐史観も全てマスメディアの主導で行われてきました。
全てのマスメディアがそうではありませんが、メディアが本作や筆者を攻撃する、または全く無視するということもあるでしょう。
言論リンチを恐れない百田氏は、まさに現代におけるジョナサン・スウィフトかと思います。

本作は「星の王子さま」のように全世界に普遍的なテーマではありません。
日本独特の極めて歪なテーマであり、諸外国の読者には意味不明であり、滑稽な童話と思われるでしょう。
本書に唯一異議があるとすると、三戒に感動して自国に適応しようとする諸国民などいないでしょう。

日本文学史に永遠に残すべき寓話…と思えるのは何十年、何百年か先に「こんな滑稽な時代が日本にもあったのだね。」と笑い飛ばせるようになって欲しいという願いです。

もし、トランプ氏が大統領になればスチームボートは日本を去るのではないでしょうか?
危機は直前に迫っているようにも思えます。

文庫化する際に僭越ながら要望が2つあります。
1つめは漢字にルビをふって小学校高学年から読めるようにして頂きたいことです。
学校推薦図書として夏休みの課題にして欲しいくらいです!!(日教組がデイブレイク側でなければ…)

2つめは巻末に登場した動物図鑑(解説)をつけて欲しいと思います。
無教養な私としてはカエルにこれほど種類があり、カエルがカエルを捕食するとは知りませんでした。

本書が寓話のままで終わりますように。
百田尚樹氏のご活躍に幸ありますように。

PS.イラストからグッズを作って広めることは如何でしょうか?イラストのカエル可愛いです。本書に賛同する人はアマガエルバッチやTシャツを着るなんてどうでしょう。反対する人はウシガエルTシャツで。(恐っ)
アニメ化されたら最高です。(心があるならNHKで放送して下さい。)


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